毎月のように、「人生成功マニュアル本」が出ています。
仕事、勉強、営業、人生などで、「こうすれば成功する」という法則が示されています。
いつも不思議に思うのですが、どうしても一冊の本にしなければならないせいか、
その法則が、50法則だったり、100法則だったりで、たいへん数が多いことです。
法則が1つでは、1~2ページで終わってしまうので、これでは本になりません。
しかし、筆者もそうですが、毎場面・・・10とか20の法則を瞬間で思い出すことは不可能です。
あらゆる手順をを、これらの法則通りに行おうとすれば、頭の中は大混乱してしまいます。
いつも、頭の中に置いておく法則は、1つがやっとです。
何故、法則は1つが良いか。筆者のような不器用な人間にとっては、どんなときでもすべて、
必ず「この法則思い浮かべて、自分をチェック」するとなりますと、二つも四つもチェック項目も
あれば、だんだんメンドウになってしまいます。
時には、三つのチェック項目のうち、一つくらいを忘れてしまいます。
「その時にチェックする」ことが不可欠なのに、一つを後で思い出しても、「遅い」の
一言で終わってしまいます。
人の脳は、シンプルなことしか処理できないのが、ほとんどではないでしょうか。
何故、法則は一つが良いか。いつかは、意識しないでも、その法則に合った形でモノ事を
決めたいからです。「意識してチェック」を、いつか、「自然に体が、頭か手のように動く」という
習慣になって欲しいからです。習慣です。いくつもの習慣を一度期に身につけるのは、アブハチトラズで
終わってしまうことが大半だからです。
二つのことでも同時に身につけるのはやはり無理なのではと思っています。
では、どんな場面でも、どんな状況でも、いつでも通用する法則はなんでしょうか。
筆者のお勧めは、「常にむずかしそうな方法(道)」、「常にメンドウが多そうな方法(道)」
「できたら、一番やりたくない方法(道)」を選択することです。
言い方は色々とあります。「やりたくない」、「むずかしそう」、「めんどうで手間が一番かかりそう」
という昨日までであれば、出来たら避けたい方法を常に選択する。これを
どうやって習慣までもって行けるか。
どんなハウツーよりも、簡単成功ノウハウよりも、大事な「基本エンジン」です。
この基本エンジンが無ければ、何をやっても、永く勝つことはできません。
ノウハウ本で奇跡的に1回は成功しても、1回だけでは何の意味もありません。
成功パターンを何回も続けていくことによってのみ、「何かを得られた」と言えるからです。
どの水準のことを為し遂げられたのか。運と才能などによって、その水準は様々です。
スティーブジョブスのように、世界の何億人の人達のメディアへのかかわり方を劇的に変化
させる人もいれば、社員10人会社の営業マンとして、過去の先輩社員達が出来なかった
営業成績を何年も達成してきた人もいます。
オリンピックで金メダルの人もいれば、国体で優勝という人もいます。
どちらがすごいか、どちらが偉いか、どちらが価値があるかの話ではありません。
それぞれの人生の器によって、ステージは違っていますが、それぞれのステージで為し遂げた
人達の共通の言葉は、「常に困難な方の道を選んできた。結局、毎日、毎日が自分との
闘いなんですね」ということのようです。
どんな才能があったり、水準が国際的なレベルにあるにしろ、そのステージに関係なく事を
やり遂げた人達の共通の思いは、「人は弱い。ほってけば、少しでも楽な方を選びたくなるのが
人間」ということではないでしょうか。
別の言い方をすれば、あらゆる人にとって一番大事なことは、「セルフマネジメント」かも
しれません。10万人か100万人に1人の天才を別にすれば、「人は、ほっておけば楽な方へ、
楽な方へと歩むものだ。そういう自分を、自分でどこまでマネジメントできるか。」
多くの人の言い方は、「(楽な方をつい選択したくなる)自分と闘い」こそが一番大変でしたと
なるわけです。
「自分との闘い」は大変です。判断を迫られるたびに自分と闘っていては、とても疲れます。
ではどうするか。「常にしんどい方を選択する」ことを習慣とするしかありません。
ゴルフやプロ野球の選手たちは、そのために、考えないでも理想のスウィングが出来るように、
1日に何百回と素振りの練習をするのでしょう。
私たちが毎日何百回と素振りをするわけにはいきません。出来ることは、習慣が身に
つくまでは、「毎回、しんどい、できたらやりたくない方選択することを続ける」しかありません。
このとき、1回でも、異なる方を選択すると、今までの苦労がすべてゼロにリセットされて
しまいます。例外を1回つくると、習慣を作るための原則が崩れていく。よくあるパターンです。
何を身につけたいか。どんなことで、人から一目置かれるようになりたいか。
誰に認めてもらいたいか。そのためには、どんな方法があるのか。これは、百者百様です。
しかし、根の共通項は一つです。「常に、しんどい方を自分で選択する。毎日、毎日が
自分との闘いですよ。」このことを抜きにしては、何事も始まりません。
とっても当たり前で、一番大変なことです。
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1947年 4月 東京都生まれ |